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雨が降ってる。

知ってる友達を見つけたような気がしたけれど確証がなかったので話しかけなかった。

次の瞬間彼は消えてしまっていた。

昨日あった実態のない切なさが少しだけうずく。

雨粒が地面に落ちてそれの行方が分からなくなるように、数日後には何もなかったかのようになる。

雨の音を聴きながら今日買ったレコードを聴いている。

ポケットにある言葉はほんの少しになってしまい、話すことは短い祈りになった。